SEEDS:VOICE 寄附者の声 お互いに助け合うこと、感謝の気持ちを表すこと 常盤和彦氏 1960年 千葉大学文理学部 物理学科卒/株式会社 常盤商行代表取締役

物理学科を卒業後、自分に出来ることをと考え、電子機器を取り扱う会社を起業した常盤氏。海外からの電子部品、電気機器等を扱い、全国にグループ会社、海外に現地法人を構えるなど、77歳になる現在も世界を股にかけた活動を続けている。起業家の大先輩として、そして福島県浪江町を故郷に持つ一人の日本人として、未来を担う学生への想いを語っていただいた。

私が学生だった当時は、終戦まもない頃でした。お金も物もない時代で、実験や研究をするための装置や部品等も十分に揃うはずもありませんでした。親の仕送りもありましたが、それだけでは充分ではなかったので、奨学金やアルバイトで得たお金を集めて、学費や研究費に充てていました。十分に環境が整わないなかでも、自分たちで工夫してなんとかするしかなく、私だけではなくて周りもみんなそうでしたね。
研究をしたいのに必要な機材を揃えるのが大変だった、という想いが頭にずっとあって、SEEDS基金のような受け皿があることを知り、少しでもお役に立てれば良いなと思って、数年前から寄附をさせていただいています。
熱心な先生方の指導の下でよく学ばせていただいたな、という感謝の想いもあります。

私は仕事でよくアメリカに行くのですが、アメリカには「助け合い」の精神があると感じています。今の人は充分な状態が当たり前になって、「与えられたらリターンする」ということに気付かなくなっているんじゃないかと思いますね。たとえば、ここで100万円をもらったら自分のために使う、という人が多いんじゃないでしょうか。自分への関心という姿勢がある分、ちょっと自己中心的になっているかもしれませんね。この環境は誰が与えているのか、と立ち止まって考えてみる。そうすれば自ずと、他人を思いやる気持ちや助け合う姿勢が出てくるはずです。仮にポケットにある10円や100円だっていい。そのときの感謝の気持ちを外に表すのが、人間の自然の姿だと思います。だから、たとえ小額でも寄附をするのは、私にとって自然な気持ちなんです。

東日本大震災が起きてからちょうど3年が経ちました。1ヵ月くらい前に実家のある浪江町に行ったんですが、何も復興は進んでいません。墓地でさえ、いまだに墓石が倒れたままのところが多く、親や兄弟、親戚のところへ行っても、何処に焼香して良いのかわからない状態でした。実家に戻るにも数時間という規制があって、片付けることも出来ない。ぐちゃぐちゃな部屋の中をネズミが走り回っていたりして、もう想像を絶する状態です。人が住む状態じゃないですね。
復興だと言っても、家だけ与えられても、ダメですね。日用品を買うお店があったり、小川のせせらぎを聞ける道があったり、近所づきあいがあったり、人が生きていくにはそういう環境が大事です。テレビで視る光景は、氷山の一角。その現場に行って、歩いて、肌で感じないとわからないことがあると思います。

「肌」で感じる。ビジネスの場でも、どこでも、これは私がずっと大事にしていたことです。実践主義です。まあ、主義っていうほどではないんですけどね(笑)。パスポートを見ないと分からないくらい、何度も外国にも出かけています。いまの学生さんにも、とにかく動いて、自分で生きる道を見つけてほしいですね。
ネットで調べたり、見たりというだけでは充分とは言えないと思います。
大学生というのは、高校生から社会人になる過渡期ですから、いろんなことを見て、聞いて、感じることが大事。単位をとって4年間過ごしていくだけというのはもったいない。いいチャンスだと思って外へ出て、肌で感じて学んで欲しいですね。
先日、千葉大学の代表として「ソーラーデカスロン“2014”フランス大会」に出場予定の学生さん達とお話をする機会がありましたが、こうした活動も、世界を見る素晴らしい機会だと思います。
いろいろな価値観のなかで自らを視ることで、いまある環境をさらに良くすることができると思います。SEEDS基金を通して、世界に出る学生を応援したいですね。
幸い今日まで元気にやっているし、資金が調達できる状態にあれば、これからも寄附を続けていきたいと思っています。

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